[瀬戸内市の地名と人々の営み]10.長船町西須恵の熊城
第十章 長船町西須恵の熊城(くまき)
熊城は長船町西須恵西谷地区にある大きな地名で現状は畑である。クマキは熊城・熊木・熊来などと表記されて地名になっている。
熊来は『和名抄』に能登国能登郡と参河国幡豆郡に熊来郷があり、県内には鏡野町中谷の小字に熊木がある。
熊城の周辺には南東約五〇〇㍍に築山古墳があり、南約七〇〇㍍に須恵廃寺跡がある(地図参照)。
西谷は邑久古窯跡群の中でも大きな中心地で須恵器生産の拠点であった。西谷の山麓にある古墳の石室から副葬品として須恵器と共に窯壁とか須恵器作りの道具である陶製無文当て具が出土している。被葬者は須恵器の陶工か監督者と思われ、盛んであった須恵器生産を物語っている。