地名をキーワードにして地域の歴史を掘り起こすページです

[瀬戸内市の地名と人々の営み]11.「福」の地名

第十一章 「福」の地名

 地名を調べるとき命名された年代が分からないものが多いことに悩まされる。しかし福の地名の中にある程度推測可能なものがある。
 例を挙げると『和名抄』に「伊福郷」(比定地は岡山市北区伊福町付近)があり、同名の郷が全国に五箇所ある。
 伊福郷に居住していた伊福部氏について谷川健一著『青銅の神の足跡』の中で次のように述べている。

伊福部氏の名前が古記録に散見しているのは彼らが銅鐸の作られた弥生時代だけでなく、そのあとの歴史時代にも採鉱冶金の仕事を受けついでいたことを物語っている。彼らは古墳時代に急激に増大した鉄製品を作る仕事にかかわりあっていたと推定される

 としている。
 『和名抄』が編纂された承平年間(九三一~九三八)以前に伊福郷は命名されていたことが分かる。伊福は息吹(いふ)きで鉄や銅を吹く意になり、伊福と宛字されたものであろう。


powered by Quick Homepage Maker 4.71
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional